参列に関するマナー
葬儀は一般的に2日間にわたって進行する故人への別れの儀式を指します。通常、初日には通夜が、2日目には葬儀と告別式が行われ、故人と親しい人々が集まり、最後の別れを告げます。
故人や遺族に対して適切な敬意を示すためにも、葬儀に関わるマナーを解説します。
目次
通夜・葬儀・告別式
ここでは、式典に参加したときに会場で考慮すべき点を説明します。
伝統的には、通夜は遺族や近親者が故人の訃報を悼む時間でしたが、現在では告別式に参加できない人々が参加する機会が増えています。
さらに、葬儀は故人の安息を祈り、告別式は最後のお別れを伝える場として位置づけられていますが、現在ではこれらの式典が同時に行われることが一般的になっています。どちらの場合でも、定められた時間よりも早めに到着するよう心がけましょう。
会場内でのマナー
施設に到着した際には、まず受付を完了します。会葬帳に署名をし、香典を持っている場合はここで渡します。座席が割り当てられている場合は、指示に従い座りましょう。
施設内では静粛に行動し、知り合いに遭遇しても簡単な挨拶程度に留めることが良いマナーです。また、スマートフォンの電源をオフにするなど、遺族の感情を尊重した行動を心掛けましょう。
あいさつやお悔みの言葉
受付での手続きが終わった後、「このたびはご愁傷さまでございます」と挨拶を述べ、香典はラベルを相手に見えるように差し出します。
遺族と挨拶を交わす機会がある場合も、簡潔に行いましょう。
焼香の作法
葬儀の場に赴いた際、焼香のやり方がわからず戸惑ってしまいがちです。
焼香の基本的な順序を以下に紹介します。
焼香の順序例
焼香台に進み、ご遺族に一礼します。遺影(ご本尊)に向かって一礼し、一度合掌
親指、人指し指、中指で抹香をつまみ、額の高さで押しいただきます。
抹香を香炉にくべます。
遺影(ご本尊)に向かって合掌します。
一歩下がり、遺影(ご本尊)に向かって一礼し、席に戻ります。
焼香の際は、数珠は左手にかけます。
また、焼香の作法は宗旨・宗派や地域によって差があります。不安な方はあらかじめ確認しておきましょう。
宗派別に見る焼香の作法一覧
宗派 | ご焼香回数 |
日蓮宗 | 押しいただいて1回または3回 |
浄土宗 | 押しいただいて1回〜3回 |
真言宗 | 押しいただいて3回 |
日蓮正宗 | 押しいただいて3回 |
臨済宗 | 押しいただいて1回 |
曹洞宗 | 2回(1回目は押しいただく、2回目は押しいただかない) |
天台宗 | 回数を特に定めていない |
浄土真宗本願寺派 | 1回 押しいただかない |
真宗大谷派 | 2回 押しいただかない |
真宗高田派 | 3回 押しいただかない |
※押しいただくとは・・・つまんだ抹香(まっこう)を額の高さまで掲げること。
※会葬者が多い場合や、場所の都合により回数が異なる場合があります。各宗教者様により作法の異なる場合があります。心のこもったご焼香をすることが大切です。
故人との対面の作法
内容 | |
---|---|
1 | 故人から一歩下がった位置で、故人に対して一礼します |
2 | 故人の傍へ寄って、手を合わせます。 |
3 | 故人のお顔を拝して対面します。 (顔が白布で覆われている場合は、ご遺族の手で外します) |
4 | 手を合わせ、故人の冥福を祈ります。 |
5 | 故人から、一歩下がります。 |
6 | ご遺族に一礼して、退席します。 |
※宗旨・宗派や地域慣習の違いにより、一部異なる場合がございます。
通夜・葬儀に出席する際の服装
服装
喪服は格式の高い順に、「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3つにわかれています。
基本的に「正喪服」は喪主が着用し、参列者は喪主やその近親者よりも格式の低い喪服を着るのがマナーです。
また男女ともに、アクセサリーの着用は結婚指輪以外避けた方が無難です。
靴やバッグは特に注意を払いましょう。黒い靴やバッグでよく使用されるエナメル素材や革製品は葬儀の場ではふさわしくないため、控えましょう。
準喪服
男性 | ブラックスーツと黒ネクタイ。光沢が無いもの。 |
女性 | 黒か濃紺のワンピースやアンサンブル。黒か濃紺のスーツ。光沢が無く、肌を露出しないもの。 |
略喪服
男性 | ダークグレーか紺のスーツに黒のネクタイ。 無地またはそれに近く、光沢が無いもの。 |
女性 | 黒か濃紺のワンピースやアンサンブル。スーツ。 多少の織り柄は可。 |
葬儀・告別式での焼香
参列者が多い場合は焼香の長い列ができます。前の人が終わったら進み出て心を込めて焼香し、故人の冥福を祈ります。
弔辞
弔辞を頼まれたら、お断りするのは極力避け、引き受けるようにしましょう。弔辞のご依頼は遺族からの信頼の証です。
依頼されてから、作成するまで時間はあまりないことも多いですが、弔辞は葬儀後に喪家に渡すため、なるべく丁寧に書きましょう。
弔辞作成のポイント
1.亡くなられたことへの悲しみを述べる。
2.故人の業績を称え、人柄を振り返る。
3.ご遺族を励まし、今後の協力の意向を述べる。
4.故人の冥福を祈り結びとする。
※忌み言葉「重ねがさね」「度々(たびたび)」「益々(ますます)」「また」「再び」などは、使わないように気をつけましょう。
出棺
故人と縁が深い場合は、出棺するまで最後のお見送りをしましょう。悲しい気持ちをこらえるのが難しい場面ですが、出棺時は合掌か黙礼でお見送りします。