受付を頼まれた時は
葬儀の受付は遺族の代理とも言える役割です。
葬儀に関することを葬儀会社などに依頼した場合でも、香典などの貴重品を扱う都合上、受付は喪主側が選出するのが一般的です。受付を依頼されるのは遺族からの信頼の証でもあります。遺族の代理として参列者に向き合う心構えでのぞみましょう。
葬儀の受付
受付を依頼されたら
葬儀の受付を依頼されたら、やむを得ない事情がない限り引き受けましょう。葬儀の受付は遺族の信頼の証でもあるからです。どうしても引き受けられない場合は、回答を保留せず、打診されたその場で丁寧に断りましょう。
受付の役割
受付は弔問者や参列者をお迎えする係です。香典を受け取り、芳名帳に記載してもらうだけでなく、細々とやるべきことがあります。
受付の主な役割 1.弔問者や参列者の挨拶を受け、香典を受け取る 2.芳名帳記入のお願い 3.返礼品のお渡し 4.供物や弔電の受け取り 5.参列者の荷物や上着をお預かりする(クロークがある、冬場などの場合) 6.式場内や周辺の簡易的な案内(トイレ、駐車場など) |
服装・持ち物
服装は基本的に参列者と同じ「準喪服」または「略礼服」です。
準喪服
男性 | ブラックスーツと黒ネクタイ。光沢が無いもの。 |
女性 | 黒か濃紺のワンピースやアンサンブル。 黒か濃紺のスーツ。 光沢が無く、肌を露出しないもの。 |
略喪服
男性 | ダークグレーか紺のスーツに黒のネクタイ。 無地またはそれに近く、光沢が無いもの。 |
女性 | 黒か濃紺のワンピースやアンサンブル。スーツ。 多少の織り柄は可。 |
持ち物についても基本的に参列者と変わりませんが、筆記用具などの準備が必要かどうかを事前に喪主に確認しておきましょう。
持ち物 | 数珠/ハンカチ/ふくさ/香典/筆記用具 など |
葬儀当日の流れ
一般的に、葬儀の受付開始は葬儀開始の30分〜1時間前です。葬儀開始の1時間〜1時間30分前を目安に集合し、時間までに準備を済ませるようにします。
受付係は葬儀が執り行われている間も参列者や弔問客の対応をすることになるため、焼香のタイミングについては事前に相談しておきましょう。
時間の目安(葬儀開始が13:00〜/受付開始が30分前の場合)
12:00 | 斎場に到着/親族への挨拶/受付準備 |
12:30 | 受付開始 |
13:00 | 葬儀開始 |
受付の基本的な流れ
受付の流れは遺族の意向や葬儀の会場、形式などで変わってきます。準備の際に遺族や葬儀会社のスタッフなどから説明があった場合はその指示に従うようにします。
一般的な受付の流れ
1.参列者や弔問客の挨拶を受ける |
2.挨拶を返す 文言例1.「本日はお忙しい中お越しいただきまして、ありがとうございます」 文言例2.「本日は足元のお悪い中をお越しいただき、ありがとうございます」 |
3.香典を出されたら、両手で受け取り、一礼する 文言「お預かりします」 ※あくまで遺族の代わりに受け取るので「頂戴いたします」は適当ではありません。 |
4.記帳をお願いする 文言例.「恐れ入りますが、こちらにお名前とご住所をご記入ください」 |
5.返礼品をお渡しする 文言例.「こちらお礼の品でございます」 |
6.あるようなら、お供え物や弔電を受け取る(誰からもらったかメモしておく) |
7.香典は受付で保管し、お供え物や弔電は葬儀社のスタッフに渡す |
受付の際に気をつけること
事前に準備しておくこと
受付を引き受けたら、事前にいくつか準備しておくことで、スムーズな対応ができます。
受付の事前準備 1.受付係の中で役割分担をしておく。 2.必要なものが揃っているかの確認。 3.香典や供物の扱いについての確認。 4.会場内のレイアウトや周辺の地図の把握をしておく。 5.焼香などのタイミングを確認しておく。 |
1.受付係の中で役割分担をしておく。
受付係は複数人で担当するのが一般的です。事前に役割を分担しておくと、当日の案内がスムーズになります。
役割 | 仕事内容 |
芳名帳記入のお願い | 声掛けをして芳名帳への記入を案内する。 |
香典・弔電などの受け取り | 参列者が弔電などをお持ちの場合は受け取った後に葬儀社のスタッフに渡し、祭壇にお供えしてもらう。 |
返礼品のお渡し | 御礼品・返礼品などを渡す。 |
会計 | 受け取った香典を預かっておく。 紛失のないよう細心の注意を払うこと。 |
2.必要なものが揃っているかの確認
受付開始までに、必要なものが揃っているか、どこにあるかを把握しておきまそう。
必要なもの | 備考 |
筆記用具 | 芳名帳を記入してもらう用、メモを取る用など、必要な数があるかを確認します。 |
芳名帳 | 葬儀の形式によって記入の仕方が変わるので、確認しておきます。 |
返礼品 | お渡しするタイミングについて確認しておきます。 品物をその場で渡す方式や、引換券をお渡ししてお帰りの際にお渡しする方式があります。 また、香典が連名だった場合や、お返しは要らないと言われた際の対応についても確認しておきます。 |
メモ用紙 | 供花や供物を受け取った際などに覚書をしたりするのに使用します。 |
会場周辺の地図 | お帰りの際の道順などを聞かれることがあるので、一度目を通して把握しておきます。 |
3.香典や供物の扱いについての確認
葬儀の形式や喪主の意向によって扱いが変わります。
特に、家族葬などで香典や供物を辞退している場合は注意が必要です。事前に辞退の旨を伝えていても持参される方や、御花代など別の名目で渡そうとする方がいるため、その場合の対応をどうするかを確認しておきます。
4.会場内のレイアウトや周辺の地図を把握しておく
受付をしていると、参列者にトイレや待機する場所、駐車場の場所などを尋ねられることがあります。
どこに何があるかを事前に把握しておきましょう。
5.焼香などのタイミングを把握しておく
受付は参列者の対応をする都合上、受付の場所を離れられないことが多くあります。焼香や精進落としの席につくタイミングを確認しておきましょう。
焼香 | 葬儀によって、開式前に済ませておく場合や、交代で焼香する場合、参列者がある程度途切れた時点で案内がある場合などがあります。 |
精進落とし | 香典の集計が終わったタイミングで案内される場合が多いですが、葬儀によって変わります。 |
特に注意すること
受付の際に特に気をつけることについて紹介します。
芳名帳の記載
フルネームで、住所までしっかり書いてもらうよう促します。
カード式などで記帳を別のところで行う場合は、丁寧にその旨を伝え、手振りで場所を示して促すようにします。
香典や供物を辞退している場合の対応
お知らせをした際に香典や供物を辞退する旨を伝えていても、「礼儀だから」と参列者が持参してくる場合があります。
トラブルの原因になりかねないため、辞退の旨を伝えて丁寧に断り、絶対に受け取らないように気をつけてください。頑なに出そうとする意思を示される方については、喪主に確認を取るようにしてください。
※辞退している場合でも、遺族の意向で「親族のみ受け取る」などの対応をしている場合があります。事前にしっかり確認しておきましょう。
お断りする際の文言例 | 「申し訳ありません。ご遺族の意向により御香典は辞退申し上げております。お気持ちだけありがたく頂戴いたします」 |
受付全員で対応方法を揃える
受付の人の間で、対応方法を統一するようにします。違う対応をしてしまうと、後々トラブルの原因になりがちです。特に注意しなければならないのが、香典・供物の扱いと返礼品の数についてです。
香典・供物の扱い | 辞退している場合でも、全く受け取らない、どこまでの範囲なら受け取るなど、遺族の意向によって対応が変わります。事前にしっかり確認しておきましょう。 |
返礼品の数 | 香典を複数人の連名で渡された場合、渡す返礼品の数をどうするかについても、葬儀会社や遺族の意向で変わるため、確認しておきます。 |
また、受付でイレギュラーな事があって対応をした際に、どういう対応をしたかを受付全員で共有するようにしてください。
特に、通夜と葬儀・告別式で受付の人が変わる場合は、対応についてしっかり引き継ぎをしておくことが大切です。
遅刻は厳禁
葬儀は故人との最後の別れであるため、多くの人が遅刻をしないようにやってきます。人によっては、開式の30分以上前に足を運ぶ方も珍しくありません。受付はそんな参列者の方々を迎える役割ですので、遅刻は厳禁です。
特に会社関係のつながりで依頼された場合は、仕事の延長線上と捉えられる場合が多く、その後の評価に影響しかねないため、時間に余裕をもって行動するようにしてください。
移動中のトラブルなど、やむを得ない事情で遅れそうな場合は、他の受付のメンバー(メンバーの連絡先が分からない場合は葬儀会社)に連絡を入れるようにします。
マナーについて
受付をお願いされる立場とはいえ、参列者であることに変わりはないため、通常の葬儀と同様にマナーを守った振る舞いを心がける必要があります。
特に受付係が気をつけるべきマナーについて紹介します。
服装 | 周りから見られる機会が増えるため、着ているものにシワや汚れがないか、髪や化粧の乱れがないかなど、身だしなみに細かく気を配るようにします。 |
言葉遣い | 丁寧な言葉遣いで、ゆっくり、はっきり話すよう心掛けます。特に、高齢の方に対しての話し方に気をつけましょう。 |